知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(7)

Q:ソフトウェアは著作権で保護されると聞いたことがあるのですが、特許権でも保護されるのですか?

A:ソフトウェアは「表現」としての側面と、「アイディア(思想)」としての側面を併せ持っています。したがって、「表現」の側面から著作権制度の保護対象となり得るのと同様に、「アイディア」の側面からは特許制度の保護対象となり得ます。

 しかし、二つの権利で保護されると言いながら、実はそれぞれの権利による保護形態は全く異なっています。具体的には、著作権では、主として「複製(コピー)」を禁止することによってソフトウェアを保護します。そのため、例えば他人がソフトウェアの解析によって、複製(コピー)ではなく、アイディアを抽出して模倣したような場合には、著作権による保護を受けることができません。

 これに対して、特許権では、ソフトウェアに具現化されたアイディアを保護します。したがって、著作権による保護と異なり、アイディアが抽出されて模倣された場合には、複製(コピー)であるか否かに関わらず、特許権によって保護することが可能です。

 ちなみに、特許制度は、あるアイディアを具体的に実現する専用装置等の発明を保護するものですが、専用装置を新たに開発しなくても、ソフトウェアの工夫により、汎用コンピュータ上で同等の結果を具体的に得られる場合があります。そこで、ソフトウェアを内蔵した装置のみならず、ソフトウェア単体についても特許権の保護対象に含めたという経緯があります。

 一方の著作権はあくまでも「表現」を保護するものですから、特許権の保護対象である「(技術的な)アイディア」を保護することはできないという点に注意が必要です。

 以上の考え方は、米国及び欧州においても基本的に同様です。

弁理士 岡村 隆志

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