知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標 新しいタイプの商標

 平成27年4月1日より施行された改正商標法により、「動き商標」、「ホログラム商標」、「色彩のみからなる商標」、「音商標」、「位置商標」について登録可能となりました。これらを非伝統的商標という場合もあります。従来から登録可能だった商標は、伝統的商標とも呼ばれます。米国などの諸外国では非伝統的商標は、かなり前から登録可能でした。日本でもようやく諸外国との歩調を揃えたということになります。
 なお、伝統的商標では「視覚」によって認識できるものを登録の対象としてきましたが、今回新たに登録可能となった「音商標」は、「視覚」ではなく「聴覚」によって認識するものです。
 音商標の出願件数は543件、そのうち登録件数は146件です(平成29年7月31日時点)。登録例としては久光製薬株式会社のTVCMの最後に流れる「ヒサミツ」という社名をメロディーに合わせて歌っているもの等があります。登録例を見ますといずれもTVCMなどで聞いたことがあるフレーズが多いです。
 県内企業でも1件登録されました。やはりTVCMなどでおなじみのフレーズです。
 音商標の出願には、(1)音声データをMP3形式で提出すること、(2)五線譜又は文章による説明、の両方が必要となります。五線譜には、音符、音部記号、テンポ、拍子記号、言語的要素(歌詞が含まれる場合)が必要です。
音声データと五線譜が一致しているか等、音楽的に厳密な審査がなされます。

弁理士 傳田 正彦

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