知財関連コラム

特許実務雑感24

 特許出願が出願公開される前にも重要な期間がある。特許出願日より1年という期間である。理由は2つあって、1つ目は国内優先権制度を利用して出願の置き換えをすることができること、2つ目は日本出願を基礎として外国出願をする場合、優先権主張できる期間であることが、その理由である。先ず国内優先権制度であるが、先の特許出願をより整備された後の出願に置き換えるための制度である。例えば、特許請求の範囲をより上位概念で記載したい、実施例を補充したい、出願書類全体を見直したいなど、出願当初の出願内容を補正では対応しきれない新規事項追加をなる加筆訂正を加えたい場合に利用することができる。これができるのは先の出願日から1年以内に限ります。ちなみに先の出願はどうなるかというと、後の出願から1年4月経過後に取り下げたものとみなされ、出願公開はされません。ちなみに国内優先権を主張した後の出願はいつ公開されるかというと、先の出願日から1年6月経過後となります。国内優先権主張の効果は、先の出願と後の出願の重複する事項について、新規性・進歩性等の審査の基準が先の出願時で判断するということに尽きます。審査の基準点が先の出願時となるだけであり、出願日の遡及と勘違いする場合が多いので誤解のないようにして頂きたい。先の出願に漏れた関連発明やよりよい実施例を追記することができ、特許請求の範囲や明細書の書き直しができるので、新規事項追加に該当し補正ができない場合に、とても便利で使い勝手の良い制度です。尚、外国出願する場合、基本的には先の出願をベースに優先権主張出願するのですが、新たな出願ですので、改良事項がある場合にはそれを含めて出願したほうが良いでしょう。

弁理士 平井 善博

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