知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標  指定商品第16類「新聞」とは

 商標登録は、指定された商品又は役務(サービスのこと)に対して登録されます。例えば第16類の「新聞」を指定しますと、「新聞」という商品に対して登録された商標を独占し他人を排除することができます。
 ところで、第16類の「新聞」が、インターネット上で公開された電子新聞を含むのか、紙媒体に限られるのかが問題となったケースがありました。このケースを以下に説明します。
 企業Aは、指定商品「新聞」について「滋賀新聞」を商標登録していますが、この商標登録に対して不使用取消審判が請求されました。不使用取消審判とは、継続して3年間使用していない登録商標に対して何人も取消を請求できる制度です。
 不使用取消審判に対しては企業Aが使用証拠を提出する必要がありますが、企業Aが提出した証拠は、「滋賀新聞ウェブサイト」という電子新聞をインターネット上で公開しているという使用証拠でした。
 この使用証拠に対して、特許庁では、第16類の「新聞」は紙媒体に限られるものであり、インターネット上で公開される電子新聞は、第9類の「電子出版物」であると認定し、したがって、企業Aは紙媒体による「新聞」に対して使用をした証拠を提出していないために登録商標「滋賀新聞」を取り消す、と結論づけました。この結論に不服であった企業Aは、知的財産高等裁判所に審決の取り消しを求める訴訟を提起しましたが知的財産高等裁判所においても特許庁の結論と同様の判決を出しました。
 このように、紙媒体以外に電子出版物も取り扱う場合には、第16類と第9類の両方を指定することが必要です。

弁理士 傳田 正彦

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