知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標  著名商標と出所の混同(その2)

 ある企業は、「トトロ」及び「TOTOLO」の文字を上下二段に配置した商標を、第29類の「加工水産物、食肉・・等」を指定商品として登録しました。この登録商標に対して、「トトロ」の文字は、アニメーション映画の著名なタイトル「となりのトトロ」と類似しており、また、そのタイトルの著名な略称又は該映画の著名な主人公名称である「トトロ」と同一であって、本来そのライセンスを受けなければならないところその名声にただ乗りしたものである、といった理由で公序良俗違反(4条1項7号)、未登録周知商標と同一・類似(4条1項10号)、著名商標と出所混同を生じる(4条1項15号)、不正目的(4条1項19号)違反であるとして無効審判が請求されました。
 特許庁の結論として、この登録商標を無効としました。理由としては、「トトロ」の文字は周知著名となっている映画の略称又は主人公の表示と同一であり、「TOTOLO」の文字は綴りが映画の主人公の表示と若干異なるにしても、その称呼は同一であって直ちに上記映画又はその主人公を連想、想起させるものであって、これらの表示を付した様々な商品が使用許諾に基づき製造・販売されている。そうすると、本件商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、周知著名となっている映画ないしはその主人公を連想、想起し、商品が映画製作者ないしは宮崎駿氏と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきであるというものです。
 このように、著名な商標に関しては、その商標登録がされていない分野で登録しようとしても争いのもとになるため注意してください。

 弁理士 傳田 正彦

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