知財関連コラム

特許実務雑感27

 出願審査請求を行うと、審査の結果がおおよそ11か月以内(早期審査請求を行うと1~2か月以内)に判明する。出願件数が減っていることもあるが、最近の審査は早くなったと実感します。日本国特許庁も審査の運用や質について欧米等他国特許庁と競い合っており、審査のイニシアチブを取りたいと考えているものと思われる。どうせなら、最先の審査結果をもって他国審査として扱ってほしいが、各国特許制度(特許要件や記載要件)が統一されていない以上、仕方がない面がある。出願後、出願内容について訂正したい場合があるが、自発的にする補正は、出願から最初の拒絶理由通知が届くまでいつでも行える。拒絶理由通知が届いてしまうと、その指定された期間内に補正を伴う意見書を提出することになる。補正により拒絶理由が解消しない場合には、拒絶査定となって謄本が送達される。これにより、拒絶査定不服審判請求しない限り、登録への手続機会は無くなることになる。拒絶査定不服審判請求をする際に同時に補正する機会があり、これにより、前置審査に移行する。元の審査官が再度補正後の発明について審査をし、拒絶査定を取り消して特許査定をする機会が与えられる。それでも解消しなければ審判官の合議体による審理に係属することになる。審判官は審理の結果、特許審決若しくは拒絶審決をすることになる。尚、審判においては、必ずしも補正の機会が与えられるわけではないが、特許性について可能性があれば、審尋といって、審判官から心証を開示されてそれに対して意見を述べる機会が与えられる。このときのやり取りで拒絶理由通知を発行してもらって、意見書提出と共に補正をする機会が与えられることがある。要は簡単に諦めないことが肝心である。

弁理士 平井 善博

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