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ビジネスに役立つ商標 最近のトピック(京都芸大)

 京都市立芸術大学と京都造形芸術大学との間で大学名をめぐって争いがあるようです。
 発端は、京都造形芸術大学が、大学名称を「京都芸術大学」に変更することを公表したところ、京都市立芸術大学がこれに抗議したというものです。
 各大学の商標出願を調べてみると、京都市立芸術大学は、2019年7月11日に「京都芸大」、「京芸」、「Kyoto City University of Arts」、「京都市立芸術大学」を出願、同年7月18日に「京都芸術大学」を出願しています。
 他方、京都造形芸術大学(学校法人瓜生山学園)は、2019年7月17日に「京都芸術大学」を出願しています。
 「京都芸術大学」という商標だけ見れば京都造形芸術大学の方が1日早く出願していますが、それより前の7月11日に京都市立芸術大学が「京都芸大」、「京芸」、「京都市立芸術大学」等を出願しているので、特許庁の審査で「京都芸大」、「京芸」、「京都市立芸術大学」等と「京都芸術大学」が類似すると判断されれば、京都造形芸術大学では「京都芸術大学」を使用できなくなってしまいます。特許庁でこれらは非類似であると判断されれば、「京都芸大」、「京芸」、「京都市立芸術大学」と京都造形芸術大学の「京都芸術大学」が併存することになってしまいます。
 本件は商標法だけの問題ではなく複雑な問題を含んでいると思いますが、商標は1日でも早く出願すべきということが良くわかるケースです。

弁理士 傳田 正彦

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