知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(20)

Q:特許出願を行うにあたり、共同発明者を選出する際の考え方について教えて下さい。

A:特許出願を行う際に、誰が共同発明者になるかということは難しい問題ですが、学説・判決に基づき、以下に記す考え方が通説となっています。
 まず、「共同発明者」とは、2人以上の者が単なる協力でなく、実質的に協力し、発明を成立させたものをいうと定義されています。したがって、共同発明者となるかどうかは、発明の成立に対する実質上の協力の有無によって判断されることになります。具体的には、発明という思想の創作自体に関係しない下記該当者は発明者とはなりません。

① 部下の研究者に対して一般的管理をした者、例えば、具体的着想を示さず、単に通常のテーマを与えた者、または発明の過程において単に一般的な助言・指導を与えた者(単なる管理者)
② 研究者の指示に従い、単にデータをまとめた者、または実験を行った者(単なる補助者)
③ 発明者に資金を提供したり、設備利用の便宜を与えることにより、発明の完成を援助した者、または委託した者(単なる後援者・委託者)

 また、発明の成立過程を「着想の提供」と「着想の具体化」の2段階に分けた場合に、実質上の協力の有無を次のように判断します。

① 提供した着想が新しい場合は、着想の提供者は発明者である。
② 新しい着想を具体化した者は、その具体化がその分野で通常の知識を有する技術者にとって自明程度のことでない限り、共同発明者となる。

 なお、発明者同士の権利持分については、「着想の提供」及び「着想の具体化」の観点から、発明完成に至るまでの実質的な貢献度がどの程度であったかを考慮して決定するのが妥当です。

(参考文献:特許法概説/吉藤幸朔著)

弁理士 岡村 隆志

 

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