知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標 商品やサービスの品質や質を表すに過ぎない商標

 単に商品・役務(サービス)の品質・質を表すに過ぎない商標は、商標法3条1項3号に該当し、登録することが出来ません。以下2つの事例を紹介します。
 商標「コンビニクリニック」が指定役務「医業、医療情報の提供、健康診断、調剤、・・等」を指定して出願した事例がありました。特許庁の判断としては、「「コンビニ」の文字は、コンビニエンスストアの略であり、「クリニック」の文字は診療所を意味するため本願指定役務の分野で広く使用されている。そして本願指定役務の分野で「コンビニエンスストアのような便利な診療所」のことを「コンビニクリニック」と称している実情もあることから、本願商標は単に役務の質を表すに過ぎない」、として拒絶しました。
 その他の事例として商標「速攻ケア」が指定商品「薬剤」を指定して出願した事例がありました。特許庁の判断としては、「「速攻」の文字は、すぐさま、ただちに、競技や戦で相手をすばやくせめたてることを意味し、「ケア」の文字は、世話、保護、手当て、介護、看護など医療的・心理的援助を含むサービスの意味であるとし、本願商標の指定商品を取り扱う業界においては、「速攻ケア」の文字が「すばやくケア(手当て)する」意味合いで使用されている実情が使用例により確認でき、なおかつ「速攻」の文字を薬などのききめが即時に表れること及びききめがはやいことを意味する「即効」及び「速効」と同じ意味合いで普通に使用されている実情もあると指摘し、本願商標「速攻ケア」は「すばやくケア(手当て)する」の意味で商品の品質を表示するものとして理解される」、として拒絶しました。

弁理士 傳田 正彦

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