知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標 特許庁手続きにおける印鑑

 昨今、様々な場面で押印が省略できるケースが増えてきました。新型ウイルスへの感染防止に基づく新しい生活様式、及びデジタル化への推進といったところが押印省略の理由です。
 特許庁における手続きに関しても同様に、令和3年6月12日施行の特許権等の登録手続に係る押印等の見直しにより、764種類の書類に関して押印が不要となりました。なお、ここでは署名に印鑑をつく場合を捺印、署名無しで印鑑をつく場合を押印と称しています。通常、特許庁への提出書類は署名ではなく印字した氏名等に印鑑をつくので押印になります。
 特許庁に対する手続きであって、偽造された場合の被害が大きい手続き33種類については、押印が必要な場合も残っています。
 押印が必要な書類とは、出願中の案件については出願人名義変更届、氏名変更届、住所変更届です。登録済みの案件については、一般承継による特許権等の移転登録申請、特定承継による特許権等の移転登録申請、登録名義人表示変更登録申請、質権設定(変更)登録申請、専用実施権(使用権)設定(変更)登録申請、等です。
 これらの手続きにおいては、押印する印鑑は実印であって印鑑証明書の提出が必要になりました。なお、一度印鑑証明書を提出して手続きした場合には、それ以降の手続きで同じ印鑑を使用する場合には、印鑑証明書を再度提出する必要はありません。
 今までは、特許庁への提出書類で印鑑証明書の提出までは必要なかったのですが、今回の法改正によって、押印が必要な書類に関しては印鑑証明書の提出が必要になったということで厳密な運用になっています。

弁理士 傳田 正彦

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