知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標  立体商標

 一般的に商標というと文字や図形など平面的なものを思い浮かべる方も多いと思いますが、立体的な商標も登録可能であり、これを立体商標と呼んでいます。既に登録済みの立体商標は2800件ほど存在しています。例えば、不二家の店頭にあるペコちゃんの人形や、ケンタッキー・フライド・チキンのカーネル・サンダースの人形や、佐藤製薬の象の人形等が立体商標として登録されています。これらは、店頭に配置されて商標権者の商品やサービスを他社と識別するために機能します。
 その他に商品の包装や容器が立体商標として登録されているケースもあります。
 例えば、赤福の包装箱、サッポロ一番みそラーメンの包装袋、ますのすしの包装箱、エースコックのスープはるさめの容器などが立体商標として登録されています。ここで述べた例は包装箱、包装袋、容器として市販されている印刷そのままの状態で登録されています。すなわち、箱や容器に記載されている模様や文字も含めての登録です。
 一方、ヤクルトの容器は、文字や模様が一切なく形状だけの立体商標として登録になっています。このように容器の形状だけで立体商標として登録されることは極めて稀なことで、商標法313号では商品の包装の形状のそのものの範囲を出ない認識されるに過ぎない商標は識別性が無いとして拒絶され、さらに商標法4118号では商品の包装の機能を確保するために必ず採らざるを得ない不可避的な立体的形状のみからなる立体商標は登録できないと規定されているためです。
 このヤクルトの容器の経過情報を確認しますと、拒絶査定不服審判を経て審決取り消し訴訟までいくなど登録までに非常に苦労されたことがうかがえます。

弁理士 傳田 正彦

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