知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(56)

Q:出願の先後はどのように判断されるでしょうか?

A:以前のこのコーナーにおいて、特許の付与条件の一つとして、日本等では最も早く出願した者に特許を付与する「先願主義」を採用していることを取り上げました。
 それでは、この「先願主義」の下では、実際、どのように出願の先後が判断されるでしょうか。
 日本の特許庁では、同じ内容の出願が競合した場合の先後の判断は「日」をもって行われます。つまり出願した日が先の方が先願になる訳です。
 ただし、これが「同日」である場合には、「出願時刻」まで明らかにして先後を決めるということはしていません。仮に、同じ内容の出願が「同日」になされた場合には、先後が判断されずに出願人同士の協議に持ち込まれることが特許法に定められています。
 以上が出願の先後の判断についての考え方ですが、これと紛らわしく注意が必要なものに、出願と公表(公開)との先後の判断があります。
 すなわち、出願が公表よりも後になされた場合には、「新規性」が無いと認定されて特許が取得できなくなってしまうため、その先後の判断基準が重要となる訳です。
 冒頭で説明した出願の先後の判断とは異なり、出願と公表の先後の判断は「日」ではなく、「時刻」をもって行われます。つまり、出願日と公表日が同日の場合には、仮に、出願が午後で、公表が午前中にされていると、その出願は既に公表済み(新規性無し)として特許を受けられなくなってしまいます。
 いずれにしても、共通して言えることは、発明をなした場合、いかに早く出願するかが重要になるということです。
(参考文献:特許法概説/吉藤幸朔著)

弁理士 岡村 隆志

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