知財関連コラム

特許実務雑感54

 特許権が設定登録されると特許権が発生します。特許権は、物権的権利(財産権)であり、特許権者は、特許発明を自由に実施(製造・販売・使用等)することができ、自由に収益し、自由に処分することができます。これは、民法の物権に対する考え方そのものです。但し、民法上の物権は基本的に永久権であるのに対し、特許権は有限である点で異なっています。即ち、特許権の存続期間は、原則として出願から20年です。何故かと言うと、特許発明の技術的な価値は時代の変遷と共に低下し、そのような陳腐化した権利を存続させるよりは、第三者の自由な使用を認めて次の新たな技術開発を促すことが、産業の発達に資すると考えるからであります。例えば、皆さんが日常使用しているパソコンも、ウィンドウズ95を搭載したパソコンが発売されてから、度重なるバージョンアップが繰り返され、利便性が向上していく様を想起して頂ければ納得できると思います。特許権は物(無体物である技術的アイデア)に対する直接的な支配権でありますが、有限であるため物権的権利と言われています。実用新案権、意匠権等も同様です。では、特許権をどのように活用したらいいかというと、独占排他的な権利ですから、特許発明を特許権者のみが製造し、使用し、販売するなど、自由な実施ができます。また、他人に特許発明の実施させたい場合には、ロイヤリティを決めて実施権を許諾(ライセンス契約)したり、特許権を譲渡して対価を得たりする(収益する)ことができます。更には、特許権が不要であれば、放棄して消滅させたりする(処分する)ことも自由にできます。これらはすべて、民法上の有体物と同様に、所有物を自由に使用収益処分したりするのと同様に考えられます。

弁理士 平井 善博

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