知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(50)

Q:特許出願を行ったのですが、一旦取下げて、出し直すことは可能でしょうか?

A:特許出願を行ったとしても、一旦取下げて、出し直すことは手続き上、可能です。例えば、出願した明細書の中に、開示すべきでない情報を記載してしまっていたり、明らかな誤情報が含まれていたりといった場合には、出願を取下げることが有効であると思われます。
 特許法上、出願が取下げられたときは、その出願は初めからなかったものとみなされるので、内容を精査した上で、再度出願を行ったとしても、自己の先の出願を理由に拒絶になるというようなことはありません。
 ただし、特許出願を行った日から1年6カ月が経過すると、その出願は自動的に公開されてしまいますので、情報秘匿が目的の場合には取下げをする実益がなくなってしまいます。さらに、出願が公開された状態になると、その効果として先願の地位が生じますので、取下げ後の再出願は拒絶されることになってしまう点にも注意が必要です。
 なお、取下げを検討する目的が、記載内容の修正・追加である場合には、取下げて出し直すという方法よりも、以前紹介した別の方法が有効と言えます。
 具体的には、「手続補正」という方法によって、出願した明細書中の記載に基づいて、内容の修正を行うことができます。ただし、この方法では、新しい内容を追加することはできません。したがって、そのような場合は、「国内優先権主張出願」という方法によって、出願した明細書中に記載されていない新たな内容の追加を行うことができます。このとき、元の出願は自動的に取下げの扱いとなります。

弁理士 岡村 隆志

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