知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(46)

Q:複数の公知技術を組み合わせた発明は、特許が受けられるでしょうか?

A:複数の公知技術の組み合わせによる発明を常に「進歩性(※注1)がない」と扱うとした場合には、機械や電気の分野で進歩性が認められる発明は激減すると言われています。
 つまり、公知技術の組み合わせであるという事実のみを持って、特許性を認めない理由とはならないということです。そうは言うものの、逆に特許性が高い訳では当然ありません。すなわち、通常の技術者なら誰でも容易にその組み合わせを思いつき、しかも組み合わせたことによって格別の作用・効果が認められない場合には、「単なる寄せ集め」であるとして進歩性がない(特許性がない)ものと審査において認定されることになります。
 以上のことから、「複数の公知技術を組み合わせた発明」は、その組合せが格別の困難を伴い、しかも特別の効果を奏する場合に、はじめて進歩性があると認められ、特許を受けられる可能性が生じるということです。
 一例として、鉛筆と消しゴムとが公知になっているときに、消しゴム付鉛筆を発明したとします。それらを組み合わせることがそれまで困難であり、また組み合わせにより顕著な効果が得られるならば、特許の見込があります。
 ちなみに、この消しゴム付鉛筆は、実際に19世紀にアメリカであった例ですが、一旦は登録されたものの、その後、単なる寄せ集めに過ぎないとして権利が無効にされたそうです。

※注1:「進歩性」とは、特許法に定められている特許成立要件の一つであって、簡潔に言うと「その分野の技術者が容易に考えつく程度でないこと」と定義されます。

弁理士 岡村 隆志

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