知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(45)

Q:特許を出願しましたが、審査請求を行うタイミングはいつが良いでしょうか?

A:特許出願の審査請求を行う場合、ベストのタイミングが1つだけある訳ではなく、やはり、出願内容や取り巻く状況等の様々な要素を考慮しつつ、ケースバイケースで決定していく必要があります。
 しかしながら、特に考慮すべき重要な留意点がありますので、以下、その点について紹介をします。
 例えば、特許出願を行った技術内容に関して、関連する開発を継続して行うといった状況が少なからず生じると思います。そのような場合には、出願から1年を経過した後で、審査請求を行うことが有効であると言えます。その理由として、出願から1年以内の期間は、関連する発明(いわゆる、改良発明)を「国内優先権」を主張して出願することが可能であるためです。
 ここで、国内優先権制度とは、先の出願を基礎とする後の出願について、特許可否の判断時等を先の出願時とみなして優先的な取扱いをする制度です。この制度のメリットは、後から改良発明を出願するときに、先願と実質同一である等の理由で拒絶されることを回避でき、継続して行われる開発成果を包括的に漏れなく権利化できる点にあります。
 その一方で、この国内優先権制度を利用しますと、先の出願は一定期間経過後に自動的に「取下」の扱いとなってしまいます。つまり、先の出願に対して審査請求を行ってしまうと、費用を払ったまま出願が取下消滅となってしまい、全くの無駄な出費となってしまう事態となります。
 以上のような観点により、関連する発明の出願が考えられるケースであれば、優先権主張可能な1年の期間が経過してから審査請求を行うことが、有効な進め方の1つであると言えます。

弁理士 岡村 隆志

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