知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標  商標法と鬼滅の刃

 鬼滅の刃が人気を得てずいぶん経過します。週刊少年ジャンプで連載され、その後アニメ化、映画化され、コンビニの商品でも鬼滅の刃のコラボレート商品が販売されるようになっています。
 漫画やアニメ自体については基本的には著作権で保護されるものですが、「鬼滅の刃」という作品名については、第三者が勝手に「鬼滅の刃」という名称を使用して関連グッズを製造販売したりすることを防止するため、商標登録すべきものです。
 調べてみますと集英社が権利者となって「鬼滅の刃」は図形とロゴの組み合わせであったり、又は標準文字にて何件も商標登録されています。このため、第三者が勝手に「鬼滅の刃」という名称を使用して関連グッズを製造販売することはできません。
 しかし、鬼滅の刃の登場人物の服装についてはどうでしょうか。例えば主人公の羽織は緑と黒の市松模様であり、これが非常に人気のようです。また主人公以外の登場人物の服装もそれぞれ人気があるようです。
 商標法では、布地の地模様は、識別性が無いものであるとして登録できないことになっています。したがって、基本的には商標法では、鬼滅の刃の主人公の羽織の地模様や他の登場人物の服装の地模様は特に誰の権利でもないということになります。
 ところが集英社は、鬼滅の刃の登場人物の服装の地模様を商標登録出願しています。令和2年6月に出願していますので、まだ審査の結論が出ていません。上記のように地模様は基本的に拒絶されますが、過去には著名なブランドの地模様が登録になった例があるようですので、鬼滅の刃における著名性を鑑みますと審査ではどのような結果になるか注目すべきだと思います。

弁理士 傳田 正彦

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