知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標  最近の中国商標の状況

 中国が非常に大きな市場であるため、日本企業も中国において商品の販売を行うことが多いと思います。また、中国の人によれば日本製の商品は品質における信頼性が高いので、日本製の商品が人気であるとも聞いたことがあります。
 中国では模倣品が出やすいため、中国で商品を販売する際には中国の商標登録を必ずしておく必要があります。しかし、現在中国での商標登録がなかなか難しい状況になっています。
 理由として以下のような理由が挙げられると考えています。
 (1)中国における商標の出願件数が年間800万件(日本の20倍以上)ほどになっており、偶然又は(2)のように同じようなネーミングのものがすでに商標登録されている可能性が高いこと。
 (2)日本である程度知られているような商品ブランドは、中国で先取り的に商標登録されている場合が多いこと。
 (3)中国の類似における審査は日本の審査よりも厳しく、日本では非類似で登録になるようなケースであっても中国では類似と判断されて拒絶されてしまうケースがあること。
 (4)上記の(2)のようなケースでは、相手方は悪意で商標登録したということで無効審判を請求して対応するケースもあるが、相手方の悪意を立証する証拠収集が極めて大変である。
 特に、日本ではそれほど周知とは言えないような商標が中国では先取り的に商標登録されているケースが多々ありますが、これを無効にすることは上記のように難しいです。このため、これから中国でのビジネスを検討する際には、日本と同じ商標を使用できない状況も考慮に入れる必要もあります。

弁理士 傳田 正彦

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