知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(37)

Q:外国へ特許出願を行う手続について、簡単に教えて下さい。

A:外国へ特許出願を行う場合には、直接、その国の特許庁に出願書類を提出することも可能ですが、一つの発明を複数の国に重複して出願したいといった場合には、PCT(特許協力条約)を利用した手続が便利です。
 PCTにより国際出願しようとする場合、日本国民であれば、日本国特許庁へ出願することができます。その際に、保護を求めようとする国(「指定国」と言います)の国名を願書に記載すればよいのです(現在は、出願時に全ての条約加盟国を指定したものと扱われます)。なお、国際出願の書類は、当然国内出願とは様式が異なりますので注意が必要です。
 願書が所定の形式を満たしていると判断されれば、国際出願日が認定され、この日が各指定国における実際の出願日として扱われることになります。
 その後、出願に対して自動的に「国際調査」が行われます。この調査は、関連する先行技術を発見することを目的とするもので、調査機関としてあらかじめ特定されている特許庁等によって行われることになります。また、一定期間が経過すると、原則として出願内容は国際事務局によって国際公開されます。
 一方、国際出願を行った出願人は、所定の期間内(例えば、基礎となった出願の日から2年6カ月以内)に、何処の国で権利取得の手続を進めていくかを決定して、その国に対して必要な書類(その国の言語に翻訳した明細書等)の提出を行います。これを「国内移行手続」と言います。その後、国内移行を行った国の特許庁において審査が開始されます。以降の手続は、各国特許庁での審査・応答となり、その国における特許要件を満足するものと判断されれば、特許が付与されることになるのです。

弁理士 岡村 隆志

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