知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標 COVID-19について

 新型コロナウイルスによる感染症のことをCOVID-19と称しています。単なるコロナウイルスは、従来から風邪のウイルスとして一般的に感染するものでした。したがいまして問題となっているのはあくまでCOVID-19を引き起こす新型コロナウイルスのことであって、単にコロナウイルスと言った場合には、従来から存在するコロナウイルスのことを指しますから言葉はきちんと使い分けることが必要です。
 なお、COVID-19は令和2年4月27日にある企業から商標登録出願されております。出願人であるこの企業は、従来より自ら使用するつもりがない商標を多数出願しており、特許庁からも問題視されています。この企業はCOVID-19の他にもCOVIDを商標登録出願しています。以前「Jアラート」についても同様の記事を書きましたが、Jアラートのときと同様の状況です。
 商標法第3条第1項柱書には「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、・・」とあり、自己の業務に使用する予定がない商標を出願しても商標法第3条第1項柱書違反で拒絶されます。また、他人の著名な商標の先取りとなるような出願や第三者の公益的なマーク等の出願である場合は商標法第4条第1項各号で拒絶されます。
 特許庁からは、上記の企業からの出願があったとしても商標法第3条第1項柱書違反や商標法第4条第1項各号違反で拒絶するので安心して出願してほしい旨の通達が出ています。

弁理士 傳田 正彦

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