知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標 テレワークについて

 新型コロナウイルスの影響により、在宅勤務になった方も多くなったと思います。在宅勤務の場合、テレワークという言葉が多く使われております。では、テレワークとは何かということですが、一般社団法人日本テレワーク協会という団体が存在しており、この協会のホームページによると、「情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のこと」、と定義されています。
 このように働き方についてのテレワークという言葉ですが、「テレワーク」で商標の称呼検索を行うと、29件検出されます。最も古いものでは、昭和63年に出願された「telework」であり、指定商品は第9類の「電気通信機械器具」になっております。したがいまして、携帯電話などの通信機器に「telework」と名付けて販売しますと、商標権の侵害になってしまいます。2番目に古いものは平成4年出願の「株式会社テレワーク」でして、社名そのものを登録しているようです。指定役務は第42類の「宿泊施設の提供に関する情報の提供・・」などです。
 ちなみに、「テレワーク」は広辞苑第6版にも出ています。広辞苑によれば「パソコンなどの情報通信機器を利用して、事業所や顧客先などと離れた場所で働く労働形態」とあります。
 したがいまして、いわゆる在宅勤務等における勤務形態をテレワークと呼ぶことは、辞書にも載っている普通名称として誰でも自由に使用できますが、これを特定の商品やサービスの商標として使用すると商標権侵害とされるおそれがありますので、注意が必要となります。

弁理士 傳田 正彦

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