知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(28)

Q:特許権の侵害行為に関して、「間接侵害」という規定があると聞きましたが、どのようなものでしょうか?

A:特許権を直接的に侵害する行為でなくても、侵害に用いられる専用部品を供給する等の行為は、侵害につながる予備的行為となるため、侵害とみなすこととされています。これを、法律上の「間接侵害」と言います。平成14年に行われた特許法改正よりも以前の規定では「発明の実施にのみ用いられる物」であることを客観的要件として厳格に要求していました。そのため、侵害に用いられることを知りつつ特許侵害品の重要部品を供給する場合であっても、その部品に他の用途があれば、「のみ」という要件を満たさないという理由だけで、間接侵害の規定が適用されない事態が生じ得る状況でした。すなわち、権利者の保護が十分とは言えなかった訳です。
 そのような背景のもと、平成14年特許法改正において、「のみ」という客観的要件を緩和し、新たに行為者の主観を要件とする間接侵害規定が追加されました。具体的には、侵害に用いられる専用部品でなくても、「発明の実施に用いられる物」であって、「発明の課題の解決に不可決なもの」を、特許発明の実施に用いられることを知りながら生産する等の行為が侵害とみなされることとなりました。ただし、日本国内において広く一般に流通している「ねじ」「くぎ」のようなものは対象外ですので、そのようなものまで考慮する必要はありません。
 なお、「間接侵害」となる行為は、特許法だけに規定されている訳でなく、実用新案法や意匠法にも規定されています。したがって、実施の際は直接的な侵害のみならず、「間接侵害」とならないように注意することが必要です。

弁理士 岡村 隆志

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