知財関連コラム

特許実務雑感28

 審査の結果、特許出願に拒絶理由が発見されない場合、若しくは補正書により拒絶理由が解消した場合、特許査定通知が届く。この特許査定通知をもって特許になったと早とちりしてはならない。1年分から3年分の特許料を一括して特許庁に納めなければ、特許権が発生しない。この1~3年の特許料納付をもって特許権設定登録がなされ、特許番号が付与されて特許権が発生する。ではこの特許料を所定の期間内に支払わないとどうなるかというと、出願手続きが却下となる。このとき、出願内容が出願公開されている場合には、後から特許出願を復活させることはできない。登録後に特許権を維持したければ、4年目以降は年金制となっており、維持したい年数の年金を支払えばよい。仮に4年目以降の年金の納付期限を徒過してしまった場合、期間経過後6月以内(追納期間)であれば特許料と同額の割増料金を添えて納付することにより復活させることができる。更に、追納期間内に特許料を支払えない場合であっても追納期間経過後1年以内であれば、納付できなかった理由に正当な理由があればその理由消滅から2月以内に特許料及び割増特許料を納付することにより特許権の回復が認められる。この場合の正当な理由とは、出願人の病気入院や期限管理システムの不調などの比較的寛容な理由が認められると言われている。諸外国の法制とのハーモナイゼーションを図るため、出願人保護の拡充が図られている。特許権の存続期間は、最大出願日より20年まで存続可能である。例外として、医薬等の発明の場合には、特許になっても他の省庁の法規制をクリアしなければ実施できない場合があり、5年を限度として存続期間の延長登録が認められている。

弁理士 平井 善博

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