知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(65)

Q:成功率が低い方法であっても、発明として認められるでしょうか?

A:特許法において、「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作(アイディア)として定義されています。具体的な例としては、「水は高い所から低い所に流れる」という自然法則を利用して「水車」を作れば「動力」を得ることができる、等が挙げられます。この例のように機械構造に関するアイディアは成功しない場合が時々発生するということはあまり起こりません。
 これに対して、分野によっては、成功しない場合が多く発生するようなアイディアもあります。そうすると、成功率が低いような場合には、「発明」として認められるのかどうかといった疑問が出てきます。この点に関する学説では、「発明」として認められるためにはある程度の確実性をもって同一結果を反復できるものでなければならないとされています。ただし、その確実性は必ずしも100%であることは必要とされません。
 例えば、世界的に有名な御木本幸吉の真珠養殖方法の発明では、当初の成功率は1~2%程度であったといわれています。
 つまり、開拓的な発明においては、発明要素の適正化が十分でなく、確実性が低い場合が多いことも考慮され得るということです。
 なお、上記のような生物系の発明の場合と異なり、前述の例のように機械や電気の分野の発明に関しては、通常は、高い確率で反復実施できる場合が多いため、わずかな確立でしか効果が得られない場合には、「有用性が無い」とされてしまう場合があることに注意する必要があります。
(参考文献:特許法概説/吉藤幸朔著)

弁理士 岡村 隆志

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