知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(64)

Q:「意匠」とは、どのようなものでしょうか?
A:日本において知的財産を保護する主要な法律として、いわゆる産業財産権四法があります。具体的には、「特許法」、「実用新案法」、「意匠法」、「商標法」です。このうち、「意匠」は「意匠法」で定められる「意匠権」によって保護されます。
 ここで、「意匠」という用語は、「美術・工芸・工業品などの形・模様・色またはその構成について、工夫を凝らすこと。またその装飾的考案。デザイン。」(広辞苑)の意味を有しており、一般に「デザイン」の翻訳語として広く使用されています。
 一方、「意匠法」における保護対象としての「意匠」は、「物品の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合、建築物の形状等又は画像であって、視覚を通じて美観を起こさせるもの(一部、条文中の括弧書き等を省略しています)」と定義されており、その意味は限定的になっています。
 特に重要な点として、「意匠」が意匠法による保護を受け得るためには、「物品と一体不可分」であること、「形状、模様等、若しくはそれらの結合」等であることが必要となります。
 あくまでも、保護対象は「物品の美的な外観(形状・模様等)」となりますので、発明のような「技術的なアイディア」は保護されません。また「デザイン」が類似していても、それが施されている「物品」が相違する場合(非類似物品の場合)には、意匠権の権利が及びません。つまりその類似デザインを有する物品を排斥することはできない点に留意する必要があります。
 そのような観点からも、一つの製品等の保護には複数種類の知的財産権(「特許権」、「意匠権」、「商標権」等)を取得して多面的に保護することが重要となります。

弁理士 岡村 隆志

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