知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(62)

Q:適法に購入した製品を使用しても、特許権侵害となる場合があるのでしょうか?

A:適法に購入した製品であっても、それを業務上の使用に供することによって特許権侵害となってしまう場合があり得ます。
 具体的な例としては、購入した製品が、正当な特許権者から許諾を受けずに製造されている場合、あるいは、許諾を受けずに販売されている場合等です。すなわち、購入した時点でそもそも「侵害品」であったというような場合です。
 確かに、取引において提示された金額を支払って購入したという行為だけ見れば適法ですが、特許法は、「実施行為独立の原則」を採用しているため、一つの行為(購入)が適法であるからといって他の行為(使用)まで適法と認められるわけではありません。
 仮に、製造者や販売者が第三者の特許権を侵害しているということに気が付かずに、当該製品の製造や販売をしていた場合はどうでしょうか。結論として、「侵害品」であることに変わりはありません。気が付かなかったこと(知らなかったこと)は、特許権侵害の免責理由として認められないからです。
 これに対して、正当な特許権者から直接、製品を購入しているような場合は、言うまでもなく、特許権侵害となることはありません。そのような製品であれば、転売する場合や、転売品の購入者に対しても同様に特許権侵害を主張されることはありません。
 以上のような特許権侵害の発生を防止するためには、製品購入時の売買契約等の中に、特許保証(特許補償)の条項を設けて、製造者や販売者の責任を明確にしておくことが有効な一手段となります。

弁理士 岡村 隆志

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