知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(61)

Q:「パテントプール」とはどのようなものでしょうか?

A:他社の特許発明を実施せざるを得ない場合には、実施料(ロイヤリティ)を払う方法が一般的ですが、この他にも、金銭の代わりに自社の持っている特許発明を実施する権限を与える「クロスライセンス」による方法も多く見受けられます。
 ここで、「パテントプール」とは、単純な「クロスライセンス」方式が進展したものと考えればよく、2者以上がそれぞれの特許権を持ち寄って共同利用可能な状態(例えば、権利の共有化等)にし、お互いにそれらを使用し合うケースのことを言います。
 また、なかには、それぞれの特許権を特定の会社や団体等に集めて、そこからライセンスを受ける形態を取る場合もあります。
 このような「パテントプール」方式は、無駄な特許紛争を避ける意味で効果があり、日本では電気関連、AV関連メーカー等で実施されたケースがよく知られています(一例として、ビデオ・オーディオに関するMPEG2の規格等が挙げられます)。
 この例のように、パテントプールは、新しい技術の標準化・規格化を図る流れの中で、形成されていく場合が少なくありません。
 その一方で、パテントプールの形成は、本来競合者となる企業同士が、合意の下にライセンス条件等を決定して、共同で法的・経済的行為を行うものであるため、その具体的な取り決めや運営方法次第では、独占禁止法の規定に触れる場合があり得るという点にも注意を払う必要があります。
(参考:特許庁ホームページ)

弁理士 岡村 隆志

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