知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(60)

Q:特許出願について審査請求を行った場合、どの程度の割合で特許になるのでしょうか?

A:特許出願は審査請求を行うことで実際の審査に入りますが、審査を経て特許査定となる割合(以下「特許査定率」と記載します)については特許庁より公表がされており、最新の公表データ(2020年実績)で74.4%となっています。
 当然ながら、この特許査定率は技術分野によっても異なっていますが、2000年前後において著しく特許査定率の低い分野がありました。それは「ビジネス関連発明」に関する分野です。その当時の特許査定率は10~20%程度でした。しかしながら、当該分野の特許査定率は年々上昇しており、近年は他の技術分野と同等の65~70%程度で推移していることが特許庁より公表されています。これは、「ビジネス関連発明」の捉え方が浸透してきたことも要因の一つであると考えられます。
 なお、参考として外国の特許庁における全技術分野の総合的な特許査定率を比較してみると、2019年のデータで、米国特許庁:77.3%、日本国特許庁:74.9%、韓国特許庁:68.8%、欧州特許庁:63.9%、中国特許庁:44.3%となっています(ただし、国によって特許査定率の定義が若干、異なります)。
 特許査定率の傾向として、米国、韓国、欧州では上昇傾向にある一方、中国では減少傾向にあることが集計データに表れています。ちなみに、日本は横ばいの傾向となっています。今後、各国における特許査定率が急激に増加したり減少したりすることは無いと言えますが、過去の例からみても、その時々の国の政策によって傾向に変化が生じることは十分、起こり得ます。
(参考:特許庁ホームページ)

弁理士 岡村 隆志

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