知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(58)

Q:ビジネスモデル特許の出現によって、企業経営に与える影響はどのようなものでしょうか?

A:特許庁のホームページにおいて、いわゆる「ビジネスモデル特許」と称される「ビジネス関連発明」の考え方が公表されています。具体的に、「ビジネス関連発明」とは、ビジネス方法がICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)を利用して実現された発明であると定義されています(※ビジネス方法のアイデアそのものが特許の保護対象となる訳ではありません)。
 上記のように定義される「ビジネス関連発明」に関して、ある大手電機メーカーの例ですが、営業部員に対して、売込みをするだけではなく、ビジネスモデル特許の可能性があると思ったら必ずそれを知財部に持ち込んで相談し、特許になり得ると判断された場合には、出願を終えてから取引先に提案するよう求めているケースも実際にあるようです。しかしながら、迅速な営業を行わなければ、他社にビジネスチャンスを奪われかねないとの懸念も払拭できません。そこで、営業の迅速化や取引先との信頼関係重視の観点から、とりあえず可能な範囲で内容を提示し、納得が得られれば取引先との共同出願にするといった手法も併用されています。
 このように、営業と特許出願との関係は難しい問題も含んでいますが、企業には、営業と知財との緊密な連携体制の整備が求められることとなります。ビジネスモデル特許を一時的なブームとして捉えるのではなく、社内のあらゆる部署から継続的な発明がなされ、特許出願の慣習を社内風土として根付かせることができれば、経営面においても有効であると思われます。
(参考:特許庁ホームページ)

弁理士 岡村 隆志

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