知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(54)

Q:特許権について相続人がいない場合、その権利はどうなるでしょうか?

A:「特許権」は「知的財産権」、すなわち「財産」ですので、相続に関する取扱いが重要となります。仮に相続人ではない者同士が権利を主張し始めると、大きな混乱が生じてしまうことは言うまでもありません。
 通常、相続人がいない場合の相続財産は、民法一般の規定に基づいて国庫に帰属することが定められています。
 これに対して、特許法においては、その例外となる取扱いが定められています。具体的には、特許法76条において「特許権は、所定の期間内(民法958条に定める期間内)に相続人である権利を主張する者がないときは、消滅する」と規定されています。
 このように規定された理由については、そもそも特許法が産業の発達を目的とする法律であることに由来します。
 すなわち、相続人がいなくなった特許権については、これを消滅させることによって、世間一般に対して当該技術を開放し、何人もその特許発明が利用できるようにすることで、法目的であるところの「産業の発達」が図られると考えられたからです。

弁理士 岡村 隆志

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