知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標  ダークパターン

 ダークパターンとは、アプリやWEBサイトにおいてユーザーに意識させることなく、特定の行動を促すように誘導するユーザインターフェースのことをいい、近年問題となっているものです。
 ダークパターンを標準文字で商標登録出願した事例がありました。指定役務は35類の広告等、41類の技芸・スポーツ又は知識の教授等です。この出願に対し、特許庁では、ダークパターンの語は「ウェブサイトの表記やデザインによって消費者を不利な決定に誘導するもの」を意味する語として認識されている実情があり、諸外国や我が国でもこの「ダークパターン」については、消費者等に不利益を与えることから消費者団体が批判し、これを規制する措置がとられている実情があるため、商標として登録・使用することは、商取引の秩序を害するおそれがあり、社会的妥当性を欠くので商標法4条1項7号(公序良俗違反)に該当するとして拒絶しました。
 出願人は、本願はダークパターンを世に広めたり、推進したり、擁護したりというような言葉があるわけではなく、むしろ請求人はダークパターンをなくすための協会を作って活動している旨主張して拒絶査定不服審判を請求しました。
 しかし、特許庁では、本願商標を使用することは、取引者・需要者に不穏かつ不快な印象を与え、社会の一般的道徳観念に反するから、本願商標は、その構成自体公序良俗に反するおそれのある商標として拒絶審決を出しました。
 このように、一般的に悪い意味を持ち、問題となっている語を商標登録しようとする場合には、いくら出願人がそのような問題を解消しようとしている場合であっても、公序良俗違反とされてしまうケースがあります。

弁理士 傳田 正彦

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