知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(84)

Q:開発成果のプログラムについて、著作権を所有していないと不都合が生じるでしょうか?

A:開発の成果としてプログラムが完成したときには、プログラムの著作権が発生します。一例として、装置メーカーが新しい装置の開発を行う際に、制御プログラムの製作を外部の会社に委託することが多く行われています。そのようなケースでは、完成したプログラムに対して、開発を行った会社が「著作権は当社に帰属する」という旨の要求をしてくる場合が少なくありません。つまり、装置メーカー自身は、開発した装置に関する制御プログラムの著作権を所有できない状況となる訳です。
 一般的に、プログラムの著作権を所有していない場合には、以下のような不都合が生じることが考えられます。具体的に
・プログラムの複製(コピー)を行うことができない
・プログラムの翻案(バージョンアップ)を行うことができない
等の誓約を受ける可能性があります。
 あくまでも、上記は著作権法に規定される権利の効力の内容です。したがって、全ての開発案件において、プログラム製作会社が著作権を行使するという訳ではありません。しかしながら、装置メーカーの立場からみれば、自ら著作権を所有している場合に比べて、装置の製造販売、特にその後の装置改良等を行う場面等において、制約を受ける可能性が高くなってしまうことも事実です。
 したがって、プログラムの製作を委託する前に、その成果の取り扱い、すなわち、著作権が生じた場合の権利の帰属について、委託を検討する相手会社と十分に議論して、契約を取り交わす等により明文化しておくことが重要です。

弁理士 岡村 隆志

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