知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標 コンセント制度

 日本を除く世界各国ではコンセント制度を導入している国が多くあります。コンセント制度とは、先登録商標と類似であるとして拒絶理由通知がきた場合に、先登録の商標権者が類似の後願商標を登録することに同意すれば拒絶理由が解消されて登録を認めるという制度です。同意書制度、共存同意書制度などとも呼ばれることもあります。
 日本でもコンセント制度を導入すべきかどうか、かなり昔から議論されてきました。コンセント制度を導入すべきという意見では、「先登録商標権者の意見が反映された審査結果になるので争いを未然に防ぎ、より現実に即した登録ができる。類否判定の難しい場合でも実態に沿った弾力的な解決ができる。世界各国で導入されているので国際的な調和を図るべき。」といった意見があります。
 導入すべきでないという意見としては、「非類似であっても具体的に出所の混同を生じる場合には登録しないという登録要件(4115号)の審査の比重が重くなる。先登録の商標権者から同意を取り付けるのに時間がかかり審査期間が長期化する。」といった意見があります。
 私個人としては導入すべきという意見に賛成です。出願前の調査で類似する先登録商標が見つかれば、出願したい商標を変更すべきかどうかの判断も大変ですし、実際に先登録の商標権者が共存に同意しているのであれば出所の混同のおそれもなく商標法の意義に合致しているからです。
 何年かおきにコンセント制度の導入に関する意見書が日本弁理士会を含む各種団体より特許庁に提出されてきました。ユーザーフレンドリー、国際的調和の観点からも検討していただきたいものと思います。

弁理士 傳田 正彦

トップへ戻る