知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標 LとRの相違

 日本人にとってはLとRの発音の区別というのは難しいものです。しかし英語圏の方にとっては、LとRの発音の相違は明確です。
 日本特許庁においてはLとRの発音は同じであると判断されますが、発音が同じでも外観や意味が異なれば全く異なる単語の意味としてとらえられ非類似であるとしたケースがあります。
 「BLINK」を出願したところ先登録の「BRINK」と類似するとして拒絶された出願人が、拒絶査定不服審判を請求して最終的には非類似であるという審決を得た例です。
 この審決によると、両商標はともに「ブリンク」の称呼を生じるが、「BLINK」は「まばたき」の意味であり、「BRINK」は「瀬戸ぎわ」の意味である。したがって、両商標の観念は相違する。そして、外観においては、両商標は、5文字中2文字目の「L」と「R」の文字の差異を有するところ、「L」と「R」の文字は、外観が明らかに相違するものであって、該差異より両商標の意味が異なることからすると、看者の「L」と「R」の文字に対する注意力は他の文字に比して高いものといえ、両商標を把握する上で該差異の全体に与える影響は、決して少なくなく、両商標は互いに見誤るおそれがあるとはいい難い。そうすると、本願商標と引用商標とは、「ブリンク」の称呼を共通にするものの、外観及び観念において相紛れるおそれはなく、両商標は、非類似の商標というべきである、と結論づけられました。

弁理士 傳田 正彦

トップへ戻る