知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(8)

Q:IT技術を利用したもの以外にはビジネス関連発明はないのですか?米国などでは認められていると聞いたのですが。

A:確かに、米国においては「発明」について明示的に技術的要件を求めていませんが、同時に、抽象的なアイデアは特許にならないとしています。したがって、ITその他の技術を利用せずとも、この要件を満たすことができれば、米国において、ビジネス関連発明が特許される可能性は否定できません。

 続いて、我が国の場合を見てみますと、特許庁は、「発明」であるための要件として、特許法に規定される「自然法則を利用した技術的思想の創作」であることを求めているものの、IT技術を利用した発明以外に、特許として成立し得るビジネス関連発明が存在する可能性を否定してはいません。

 しかしながら、現状ではIT技術を利用しないビジネス関連発明のほとんどは「人為的取決め」に該当すると考えられ、「発明」には該当しないこととなるため、実際には、IT技術を用いず、かつ、「発明」に該当するビジネス関連発明というのは、想定することが難しいと思われます。

 ちなみに、「発明」に該当しないとされる「人為的取決め」とはどのようなものかという点について、少し触れておきたいと思います。特許法解説の基本書として知られている吉藤幸朔著「特許法概説」において、「人為的取決め」とは「金融保険制度」、「課税方法」、「遊戯方法」等のように、人が仕組み(ルール)を決めることにより運用されている制度や方法が該当例として示されています。その他にも、野球やサッカー等、スポーツのルール等も「人為的取決め」に該当するものとして扱われます。

(参考文献:特許法概説/吉藤幸朔著)

弁理士 岡村 隆志

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