知財Q&Aコーナー(87)
Q:「自由技術」とはどのようなものでしょうか?
A:「特許技術」に対して、「自由技術」という言葉が使われる場合があります。
先ず、「特許技術」とは言うまでもなく、特許権が付与された技術を指します。つまり、特許権の権利者もしくは権利者から実施許諾を受けた者しか、その技術を実施することができません。
一方、「自由技術」とは「公知技術」とも呼ばれるものです。後者から容易にイメージができるように、すでに公知となった(一般に知られた)技術であって、万人が自由に実施することができるものを言います。
ところで、特許権侵害を争う裁判の場面で、権利侵害を訴えられた被告が「自由技術」である旨の抗弁(反論の主張)を行うことがあります。より具体的には、被告側が実施している技術内容は、特許権の範囲内であるか否かに関わらず、そもそも公知となっている技術そのもの、すなわち「自由技術」に該当するものであるから侵害ではないとの主張です。
裁判において、このような自由技術の抗弁が認められる場合、すなわち、権利侵害をしていないと認められる場合としては、被告が実施している技術が、公知技術と全く同一であること、もしくは、公知技術に基づいて導き出せることが明白なものであること、のいずれかが必要であるとの考え方が主流となっています。
弁理士 岡村 隆志









