知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(80)

Q:審査請求を行った後の手数料返還制度について教えて下さい。

A:産業財産権の中でも、特許出願に限っては、「審査請求」の手続、すなわち審査請求書の提出および手数料(印紙代)の支払いを行わなければ審査に着手されない制度となっています。ちなみに、出願から3年の間に審査請求がされない場合、その出願は取下げの扱いとなります。
 特許出願の審査請求を行った後、権利化の必要性が低下した、あるいは調査により特許性がないことが判明した等の理由によって、特許庁が審査に着手する前に出願の取下げ(又は放棄)を行った場合には、その手続の日から6カ月以内に返還請求することによって審査請求手数料の返還を受けることができます。
 この返還制度が設けられた目的として、出願件数の増加に伴い、審査期間が長期化する課題が生じていたため、審査を待っている間に権利化の意義がなくなった出願の取下げを促進することで、審査期間の短縮を図ろうとしたものです。
 なお、「特許庁の審査着手前」とは、次のいずれかの書面が手元に届くまでと定められています。
1)拒絶理由通知
2)特許査定の謄本
3)明細書における先行技術文献開示義務違反の通知
4)同一発明かつ同日出願の場合の協議指令
 また、返還される金額については、手数料の「全額」ではなく、「2分の1の額」とされていますが、そもそも、審査請求の手数料は基本料金の部分だけで約14万円に設定されていますので、たとえ2分の1の額であっても、少なくない金額の返還を受けることができます。
(参考:特許庁ホームページ)

弁理士 岡村 隆志

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