知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(67)

Q:特許権侵害によって業務上の信用が毀損されたような場合にはどのような措置が採れるでしょうか?

A:先ず、「特許権侵害によって業務上の信用が毀損される」として、どのような場合が想定されるかについて説明します。具体的な例としては、他人が特許製品の粗悪品のようなものを製造・販売することによって、特許権者の企業イメージがダウンしてしまうようなケース等が考えられるでしょう。
 特許法においては、上記のような特許権侵害による信用毀損行為が行われた場合に、特許権者が裁判所に対して信用回復措置を侵害者に命ずるように請求を行うことができる旨の規定が設けられています。
 仮に、このような信用回復措置の請求が裁判所になされた場合に、裁判所が行う命令としては、あくまでも具体例の一つとしてですが、特許権侵害を行った者に対し、新聞に謝罪広告を掲載させること等により特許権者の信用回復を図らせるといった方法が挙げられます。
 以上の説明の通り、特許法上は、特許権侵害によって業務上の信用が毀損されたような場合において、信用回復措置を図るための規定が設けられています。しかしながら、実際上は、特許権侵害が直ちに業務上の信用毀損に該当するといったケースは稀であると考えられます。
 したがって、特許権侵害を発見した場合の対応策として、特に粗悪品等が市場で販売されているようなケースでは、先ず差止請求(より緊急性を要する場合には「仮処分」申立て)を行う等によって早めに侵害行為の停止措置を採ることを優先的に検討することが重要であると思われます。
(参考文献:特許法概説/吉藤幸朔著)

弁理士 岡村 隆志

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