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ビジネスに役立つ商標 ファストトラック審査の休止

 令和4年度までは、商標のファストトラック審査という制度が運用されていました。この制度は、有る条件を満たした出願については特に申請をしなくても通常の審査よりも3か月程度早く審査するという制度です。例えば令和3年度までは審査に12か月程度かかっており、これが9か月程度に短縮されました。令和4年度は審査に9か月程度かかっており、これが6か月程度に短縮されました。
 ファストトラック審査が適用される条件は、以下の通りです。商標登録出願の指定商品又は指定役務の内容が、(1)出願時に、「類似商品・役務審査基準」、「商標法施行規則」又は「商品・サービス国際分類表(ニース分類)」に掲載の商品・役務(以下、「基準等表示」)のみを指定している商標登録出願であること、(2)審査着手時までに指定商品・指定役務の補正を行っていない商標登録出願であること、の2点です。
 上記の(1)及び(2)の条件を満たした商標登録出願については、特に申請をせずとも自動的に通常よりも3か月程度早い審査がなされていました。
 そして、特許庁は令和4年度(令和5年3月31日までの出願)をもってファストトラック審査を休止すると発表しました。休止の理由としては審査期間が短縮されてきたことです。実際に現在の商標の審査期間は特にファストトラック審査でなく通常の審査であっても6か月~9か月程度であり、以前と比較してかなり短縮されたことがうかがえます。
 なお、特許庁によると、ファストトラック審査はあくまで休止であり、再開時期は未定としていることから、今後もし審査期間が長くなるような事態になれば、ファストトラック審査が再度行われる可能性もあります。

弁理士 傳田 正彦

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