知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標 色彩のみからなる商標

 色彩のみからなる商標を登録する制度が平成27年から開始されました。「色彩のみからなる商標」とは、単色又は複数の色彩の組合せのみからなる商標であって、文字や図形と組み合わされたものではないものです。
 商標の審査基準によると、色彩のみからなる商標は原則として識別性を有しないこととしています。すなわち、その色彩がその企業のその製品(またはサービス)に付されていることを多くの人が認識しているという証拠を提出しない限り登録できない、ということです。
 令和49月現在において、登録されている色彩のみからなる商標は9件のみであり、9件のうち全てが複数の色彩の組み合わせであって単色での登録はありません。制度開始から8年経過してもまだ9件しか登録できていないことから登録のハードルが非常に高いことがうかがえます。
 複数の色彩の組み合わせによる登録済みの商標は、トンボ鉛筆(指定商品:消しゴム)の青白黒の組み合わせ、セブンイレブンジャパン(指定役務:小売)のオレンジ白緑白赤の組み合わせ、三井住友フィナンシャルグループ(指定役務:預金の受入れ等)の緑と黄緑の組み合わせ、三菱鉛筆(指定商品:鉛筆)の茶色と黒の組み合わせ、ファミリーマート(指定役務:小売)の緑白青の組み合わせ、ユーシーシー上島珈琲(指定商品:コーヒー飲料)の茶色白赤の組み合わせ、日清食品(指定商品:即席めん)の茶色とオレンジの組み合わせです。これら登録された色彩のみの商標を見ると、確かに色彩だけでその製品やサービスをすぐに思い浮かべることができるものであり、全国的に有名でないと登録が難しいことがわかります。

弁理士 傳田 正彦

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