知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標 商標審査基準の改定(その1)

 商標の審査基準が改定され、令和241日以降の出願には、改定後の審査基準が適用されて審査が行われます。
 今回の改訂では、主に立体商標について改定されています。立体商標制度とは、立体的な形状であって自他商品や自他サービスを識別するものであれば、商標として登録するというものです。過去の立体商標の例としては、不二家のペコちゃんの人形、ケンタッキーフライドチキンのカーネルサンダースの人形などが有名です。
 ところで近年店舗の外観や内装に大きな特徴を持って、顧客が店舗の外観などでその目印とする例が増えてきております。例えば、コメダ珈琲などがあげられますが、非常に特徴的な建物の外観をもって顧客の目印としているものです。しかしながら従来までの立体商標制度では、建物の外観や内装についての審査基準が明確ではなく、商標法で十分に保護できていないという問題がありました。
 コメダ珈琲は、店舗外観(店舗の外装、店内構造及び内装)について、同じような店舗外観を有している同業他社に対して不正競争防止法によって争っています。今後は、店舗の外観についても商標権として登録できれば、保護がより確実にできるものと期待されます。
 店舗の外観を立体商標として商標登録出願するには、立体商標であることを記載したうえで、立体物であることが明確となるように1又は複数の図面で立体物を表す必要があります。そして、商標の詳細な説明の欄には、「商標登録を受けようとする商標は、立体商標であり、3つの多面体を含む店舗の外観の一部を表したものである。」というような説明を記載することが必要となります。

弁理士 傳田 正彦

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