知財関連コラム

特許実務雑感38

 中間対応の続きになりますが、審査の結果、特許性有の評価の請求項と、進歩性なし等の拒絶理由が指摘された請求項が混在する場合、特許性有の請求項を残して他の請求項を削除補正してもよいですが、拒絶理由を含む請求項について特許化する道を選択する場合には、分割出願でもよいです。分割出願は、原出願に2以上の発明を含む出願を1又は2以上の出願に分割する新たな出願である。新たな出願であるため再度特許請求の範囲の見直しができ、権利化を図る時間的猶予が生まれることが大きいと思われる。分割出願する時期は、補正書を提出する時又は期間内となっており、多くは拒絶理由通知において指定された指定期間内にすることが多い。また分割出願の出願日は、原出願と同じであり出願日遡及効があります。また、特許査定がなされて特許査定謄本送達日より30日以内にする場合もあります。例えば、特許査定となった特許請求の範囲に記載がない事項で、明細書記載事項について追加的に権利化を図るため分割出願することができます。分割出願は、出願当初の明細書及び図面に記載された範囲内で行われるため、原出願との同一性が必要であり、特許査定後の分割においては、特許査定された直線明細書に記載されていることが必要である。特許査定後に行う分割は、時期的に忙しく、特許請求の範囲も定まらない場合もある。こんな時は、とりあえず原出願のまま30日以内に分割出願し、その後請求項の記載を練り直して自発補正し、上申書を提出して分割要件を満たしていることを説明すればよい。最悪なのは、分割要件違反(例えば新規事項追加)が明らかになり、出願日が現実の出願日となって、先に出願公開されている自らの原出願を引用されて拒絶される場合です。

弁理士 平井 善博

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