知財関連コラム

特許実務雑感32

 今回からは、中間処理、即ち特許出願の審査において受けた拒絶理由通知への対処法や救済制度についてお話する。出願発明について拒絶理由通知を受けた場合、クライアント様から特に不満の声が聞かれるのは、何で先行技術を調査したのに拒絶理由が通知されるのか、という点にあると思われる。代理人側から言い訳するとすれば、先行技術調査に完璧はないこと、特に出願から公開までのブラックボックス期間がある(即ち日々新たな文献が公開される)ことに加えて、先行する出願どうしの組み合わせをすべて検証するのは不可能であること、更には出願当初の特許請求の範囲の独立項は、比較的上位概念(広い表現)で記載されていること等に起因するといえる。ただし、出願前1年6月前までに類似技術が見つからないということは、経験上かなり特許性が高いと考えてよく、少なくとも同一技術が発見されなければ特許される可能性は高い。拒絶理由通知で指摘される理由を大別すると、所謂発明の単一性違反、記載要件違反、及び特許要件違反に分けることができる。発明の単一性違反の場合、発明が解決しようする課題が異なる2以上の発明が含まれている場合が多く、この場合には、異なる課題を解決する請求項を削除補正するか、課題を同一とする請求項のみに書き換える補正をする必要がある。また。異なる課題を解決する発明については権利化を希望するのであれば出願分割を考えざるを得ない。特に請求項1が極めて広い上位概念で記載され従来技術レベルであると評価される場合、発明の特別な技術的特徴が見いだせないとして下位概念の請求項どうしでは発明が解決しようとする課題が異なるため、発明の単一性違反を指摘されるケースが多い。

弁理士 平井 善博

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