知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標 米国商標制度の使用主義

 世界各国、それぞれの国ごとに異なる商標法が存在しています。商品やサービスに使用する標識(マーク)を商標といいこれを登録する、という大きなくくりでは、どの国の商標法も同じです。しかし、なぜ商標を登録するのかという商標法の基本的な考え方として使用主義と登録主義という2つがあります。
 使用主義というのは、ある標識(マーク)を商品やサービスに使用した結果、顧客の信用などがその標識(マーク)に蓄積するので、その顧客からの信用が蓄積した商標を財産として保護すべき、という考え方です。
 登録主義というのは、実際に使用していないがこれから使用する予定のある標識(マーク)であっても安心して使用できるようにあらかじめ登録して保護すべき、という考え方です。
 米国の商標法は、使用主義の考え方を採用しており、登録が許可された後で使用宣誓書と使用証拠を提出する必要があります。また、登録から6年目までに再度使用宣誓書と使用証拠を提出する必要があります。
 使用証拠としては、商品に直接商標が印刷等されていればこの写真を提出すればよいし、また商品のラベルやタグに商標が使用されていれば、この写真を提出すればよいということになっています。なお、自社のホームページで商品を紹介しているだけでは使用証拠とは認められません。自社のホームページにアクセスした顧客が、そのホームページで購入できるようなシステムになっていれば使用証拠として認められます。
 使用証拠の提出は、複数の指定商品が登録されていても1区分のうち1つの商品について使用証拠を提出すればよかったのですが、近年、1区分のうちに多数の指定商品が登録されている場合には、さらに複数の商品の使用証拠を提出するよう要求されることが増えていますので、注意が必要です。

弁理士 傳田 正彦

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