知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(27)

Q:特許庁が発行する「公開特許公報」と「特許公報」との相違点について教えて下さい。

A:両者を見比べますと、「公開」という2文字が有るか無いかだけで、一見、同じもののように思ってしまうかも知れませんが、実は大きな相違があります。
 具体的に説明をしますと、特許法の定めるところによって、特許出願は出願の日から1年6ヶ月を経過したときに、その内容が公開されます。この時に発行されるのが、「公開特許公報」です。この公開の前に自発的に取り下げの手続を行わない限り、全ての出願が公開対象となります。
 一方、特許出願を行った後に、出願審査請求の手続き(現在の特許法では出願日から3年以内と定められています)をとることによって、審査官による審査が開始されます。審査の結果、審査官が特許に値すると認めた場合には「特許査定」が通知されて、特許料を納めることで特許として登録されます。この時に発行されるのが「特許公報」です。ちなみに、審査請求は出願公開の前に行うこともできますので、公開前に特許が付与されるというケースも想定されますが、その場合には「公開特許公報」よりも先に「特許公報」が発行されることとなります。
 続いて、2つの公報の相違における最も重要なポイントとして、例えば、「公開特許公報」が発行された後に、審査官による審査が行われ、その結果「拒絶理由通知書」が通知された場合においては、明細書の補正を行って対応するケースがほとんどです。その補正後の内容で「特許査定」となった場合には、「公開特許公報」とは異なる内容の「特許公報」が発行されることとなります。つまり、他社の権利内容を確認する場合等においては、「特許公報」により最終的な権利範囲を確認することが重要となります。

弁理士 岡村 隆志

トップへ戻る