知財関連コラム

特許実務雑感26

 次に重要な手続き期間として、特許出願日より3年という期間がある。3年以内に出願審査請求しないと、権利化の意思がないとして出願取下げ擬制されてしまうので注意が必要である。出願審査請求は、出願発明が特許要件を備えているか否かの審査着手の請求をする手続きである。ではいつ出願審査請求するのが良いかというと、通常は出願人の意思に委ねるのであるが、3年経過直前でもよいし、出願と同時でもよい。出願発明が実施化までに時間がかかりそうな場合、或いは他社の動向を牽制するねらいであれば3年経過直前でもよいかもしれない。これが、外国出願を見込んだ出願であれば、出願後早期に審査請求しかつ早期審査請求といって審査を早期に行う請求をすれば早ければ1~2か月で審査結果がわかる場合が多い。これにより確実に権利化できる特許請求の範囲を作成して、優先期間内に外国出願するのである。日本の審査を経た特許請求の範囲であるので、外国特許庁もこの結果と異なる結論を導くことは通常難しく、費用を節約して外国で権利を取得できる可能性がある。尚、早期審査請求をする場合、事情説明する必要があるが、実施関連出願や外国関連出願であるというのは理由の一つになるし、個人や中小企業の出願に該当すれば無条件に早期審査の対象となりうる。ただし、国内優先権主張出願と関係では、先の出願に対して出願審査請求を行うのは後に取り下げとなるため、出願審査請求費用が無駄になるので注意が必要である。審査請求のタイミングを考える場合、優先期間内にどのように対応するか(国内優先権の使用有無、早期審査請求の有無)を検討する必要があります。

弁理士 平井 善博

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