知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(21)

Q:特許法において、「コンピュータ・プログラム」は「物の発明」に該当するのでしょうか、それとも「方法の発明」に該当するのでしょうか?

A:以前の記事(知財Q&Aコーナー第18回)において、「物の発明」と「方法の発明」との違いについて触れました。そこでは、「発明」の分類によって、「実施」行為すなわち権利が及ぶ行為(保護を行う範囲)が異なることを解説しました。今回は「コンピュータ・プログラム」の発明は、そのどちらに分類されるのかという疑問について解説します。
 実は、「コンピュータ・プログラム」に関しては、平成14年の特許法改正によって、直接、出願することが認められるようになりました。その際に、「物の発明」として取り扱うということが明文化されました。
 この法改正の前においても、そのようなアイディアが保護されなかった訳ではありません。具体的には、平成9年以降、「コンピュータ・プログラムを記録した“記録媒体”」については、「物の発明」として取り扱うという運用が特許庁においてなされていました。すなわち、「使用」のみならず「譲渡や貸渡し」、「輸出や輸入」等といった行為に対しても発明の「実施」に該当するものとして保護を行うということであって、そのような扱いが定着していました。
 しかしながら、“記録媒体”に記録されているか否かという形式的な面にかかわらず、“記録媒体”に記録されていない“コンピュータ・プログラムそのもの”に対しても、実質的に保護すべきものは同じ対象であることから、同様の法的効果を与えるべきとの理由によって、上記の通り、平成14年の特許法改正において、直接、「物の発明」として取り扱うことが明示された訳です。

弁理士 岡村 隆志

トップへ戻る