知財関連コラム

特許実務雑感21

 ロンドンとブリストルとの間はグレートウェスタン鉄道という高速鉄道を利用すると1時間40分くらいで移動できる。この車両は日立製作所製であることは現地でも知られている。ブリストルは、閑静な港町で、英国最初の蒸気船グレートブリテン号が展示されている。英国は、19世紀或いはそれ以前の古い町並みがそのまま残っており、世界遺産も多く、景観としては本当に素晴らしい。但し、どこへ行っても、移民が多く、所謂物乞いをしている不労者を沢山見かけたことが、移民政策の問題点を浮き彫りにしている。150年続く事務所はチーム単位で仕事をし、先輩が後輩を育てるシステムが構築されている。デスクも広くモニターを3つ並べて仕事しているのが印象的だった。1つは明細書作成画面、2つめは図面、3つめはメール画面と言うように、タイムリーで利便性の良い使い方をしていた。驚くべきことにデスクに書籍の類は極めて少ない。20193月末にブレクジットが予定されているため、英国とEU諸国との関係で様々な分野で合意形成がなされるか、法の運用はどうなるのか、我々の関心も高いのであるが、先行きは不透明であるのが実情である。ロンドン市内の事務所を訪問した際に、ある弁理士が強調していたのは自国のみの利益を求めるのもよいけれど、EUとの繋がりや他国との協調を維持する方がもっと大切だと語っていたのが印象的だった。いずれにせよ、トランジット期間が設けられるため、その間に法律上の対応を迫られることになる。英国の事務所は、ブレクジット後の顧客サービスを考慮して、ドイツ(ミュンヘン)に支店を出してスタッフを常駐させる動きが加速しているようです。

弁理士 平井 善博

トップへ戻る