知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(18)

Q:「物の発明」と「方法の発明」との違いについて教えて下さい。

A:特許法上、「発明」は、(1)「物の発明」、(2)「方法の発明」、(3)「物を生産する方法の発明」の三つに分類されます。(ただし、特許法には、「物」や「方法」、あるいは「物を生産する方法」について、直接の定義規定がある訳ではありません。)
 「物の発明」、「方法の発明」、「物を生産する方法の発明」の分類による最も大きな違いは、その発明の「実施」の範囲にあります。具体的に説明しますと、「物の発明の実施」とは、その「物」の「生産、使用、譲渡、貸渡し、輸出、輸入、譲渡等の申出」の行為を言います。したがって、それらの実施行為に対して特許権が及び、保護されることとなります。一方、「方法の発明の実施」とは、その「方法」の「使用」の行為のみが該当します。当然、権利が及ぶ範囲もその行為のみとなります。ここで、「物を生産する方法の発明の実施」については別に規定がなされています。より詳しくは、方法の発明の一種ではありますが、実施は「使用」のみにとどまらず、「その方法により生産した物の使用、譲渡、貸渡し、輸出、輸入、譲渡等の申出」の行為についても「実施」として規定されており、特許権が及ぶこととなりますので、特に注意が必要です。
 では、「プログラム」の発明は、三つの発明のどれに分類されるでしょうか?実は、特許法上、「プログラム」は「物の発明」に分類すると規定されています。加えて、「プログラム」の場合には、「電気通信回線を通じた提供」も「実施」の行為に該当する旨が規定されています。
 以上のように、「発明」の分類によって、権利が及ぶ範囲、すなわち保護範囲が異なりますので、その点に注意して下さい。

弁理士 岡村 隆志

トップへ戻る