知財関連コラム

特許実務雑感49

 特許出願の審査の開始が出願審査請求であれば、審査の終了は何時であるかというと、それは特許査定又は拒絶査定である。いずれかの査定が打たれると、基本的に担当審査官と連絡する術がなくなる。拒絶査定の場合には、拒絶査定不服審判請求をし、同時に特許請求の範囲を補正すれば、前置審査といって、拒絶査定をした審査官が再審査することになっていますから手続が継続します。審査官は、補正によっても特許査定ができない場合には、特許庁長官にその旨を報告します。特許庁長官は、報告を受けると、3名の審判官を指定し、審判番号が付与されて審判官の合議体による審理が開始される。また、拒絶査定不服審判に係属すると、必ずしも補正の機会が与えられるわけではないが、審判官の心証を審尋という書面で出願人に開示される。このとき、必要に応じて補正や面接を希望したりすれば、双方の見解の溝が埋まる場合がある。補正により拒絶理由が解消しそうであれば、審判官は拒絶理由通知を出願人に発行し、出願人は審判官と審尋の際に予め了承を得た補正書と意見書を提出して拒絶理由を解消できる。そして、特許される場合には、特許審決、拒絶される場合には拒絶審決がなされます。拒絶審決をもらっても、更に審決取消訴訟がありますので、知財高裁に出訴して審決の妥当性を争うことができます。全ての不服申し立て手段が尽きたとき、拒絶査定は確定します。それでは特許査定はいつ確定するかと言えば、1~3年分の特許料を納付することにより確定します。特許料納付により登録番号が発行され、特許権が発生します。よって、特許査定=特許権発生ではなく、登録料納付により特許権が発生します。特許発明が特許掲載公報に掲載されその旨が周知されます。

弁理士 平井 善博

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